死後事務委任契約受任

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(高山の陣屋にて撮影、江戸時代のお役所です。その頃の代書人さんはここに
 書面を提出したのでしょうかね。)

任意後見契約の3点セットとか4点セットという言葉があります。「任意後見契約」締結の際に「公正証書遺言」、「(一般)委任契約」、「死後事務委任契約」等も同時に契約(遺言は単独行為ですが)しておくという意味です。

先日、このうち「(一般)委任契約」を省略して「任意後見」「遺言」「死後事務委任契約」に関する書類作成の仕事をすると同時に、それらの受任者となりました。それらの契約はその方の人生に大きく関わるものですので、どの契約も重要なのですが、受任者として(遺言執行含む)どれが一番大変かと言いますと、「死後事務委任契約」、それも葬儀の手配を含む内容の死後事務委任契約の受任者としての立場が一番大変です。

葬儀の実行に関することが含まれる契約の受任者になるということは、委任者が死亡したらその数時間後には、その病院に到着しているということです。葬儀の手配を第三者にまかせる人の多くは子供や配偶者等がいない、あるいはいたとしてもそういったことを頼める関係には無い場合が多いので、その方が亡くなったときには真っ先にかけつけなくてはならない立場になることも多いです。委任者がいつ亡くなるはわからない中で、電話が鳴ったら数時間以内に駆けつけないといけません。

そのような事情もあり「死後事務委任契約だけお願いしたい」と言われた場合には、お断りさせていただく場合も多いです。現実問題としては、後見人に就任しているレベルの関係性がないと、死亡の連絡がこちらに来るかどうかもわかりません。ケアマネさん、ヘルパーさん、隣人さん、親戚の方々、そういった人々が私の名刺を持ち、緊急連絡先として当事務所の電話番号(携帯電話番号)を認識してくれていないと連絡が来ないままになってしまいます。

葬儀会社等と事前に契約をしておくなどしておけば、何かがなんでも数時間以内に駆けつけなくてはいけないわけでもなくなりますが、だとしても死後事務委任契約の受任者が重責であることは確かです。私の場合でも単独ではあまり引き受けません。他の行政書士や弁護士さんと共同で受任することが多いです。

死後事務に限らず、後見や遺言執行、相続手続き代行等、人間の老いや死と向かい合う業務は難しい部分がありますね。