被相続人の住所の沿革がたどれない場合の上申書の運用

(冬の弱い日差しで大きく花開く白木蓮)

相続手続きをしていますと、被相続人の方の最後の住所地が必要になります。戸籍の付票や住民票等で被相続人が亡くなった時点での住所地を証明することになるのですが、被相続人が死亡してから5年で住所情報が削除されます。令和元年から法律が改正となり住所情報も150年保管することになったのですが、過去に遡っては適用されません。

大阪市では平成21年くらいまでに戸籍が縦書きから横書きに変更されましたので、それ以前に死亡した方の住所情報については平成26年までに削除されることになります。実際には大阪市の方で5年を10年に延長して、住所情報を証明してくれていたのですが、もうその10年も経過してしまっていよいよ昔の住所情報を取得することができなくなってきました。

最後の住所情報を証明することができなくても不動産の場合でしたら権利証があれば、権利証を提出して、そこに相続人全員での上申書(法務局に登記されている○○さんは私たちの父である○○に違いありませんので、このまま登記手続きを進めてくださいという内容)を添付するというのが、手続き上の流れでした。(このあたりは司法書士さんの仕事にはなりますが、私たち行政書士もそれを知っておく必要はあります。)

少し前の仕事で、相続人確定を終えたところ、やはり被相続人の最後の住所地が廃棄となっていたので、司法書士さんに上申書の作成をお願いする旨伝えたところ、今の法務局の運用では上申書は不要になってますよと返事がありました。平成29年に運用が変更されたようですが、それでも法務局によっては運用方針が違うようで、これまでは上申書を使っていたようですが、最近はもう無くても問題無いと判断して権利証がある場合は上申書は使わないようにしたとのことでした。

不動産に限らず、金融財産についても相続についての取り扱いはいろいとと変化していきます。相続人全員で話し合いができていない状態であっても、数年前までは法定相続分の払い戻しは可能だったのですが、最高裁での判決が出たことでそれができなくり、そして今度の民法改正により、法定相続分の一部だけではありますが、また払い戻しが可能となっています。

変化していく相続手続きの最新情報を理解して、お客様の負担を減らしていけるよう心がけております。